1. 01.


    永遠の波打ち際に君は立つ
    夢のかけらは潮騒の音

    冷たい呼吸と柔らかい嘘
    檸檬色の栞を挟んだ感傷

    目蓋の裏にあった眩い暗闇
    僕らの魔物をそっと殺して
    砂糖菓子の心臓を貪る少年

    幻を抓る指先
    一握の宇宙

    火のないところで愛を騙る
    不揃いな傷跡たち

    嘘がこびり付いて剥落
    千切れそうな暁

    やさしさでできたにせものに告ぐ
    ふたつのユートピア

    機械仕掛けの夜に跨る
    ひるひなかのネオンサイン

    きみの輪郭を匿う
    憧憬としての傷ならば

    目蓋の向こうにあるものをただ神さまと呼んでいた

  2. 02.


    ダイヤモンドの類似品
    きみは椿、ぼくは剪刀

    比喩になり損ねた名前
    三つ編みを解いて死す
    紺青の約束をあなたに

    どこにもいけない呼吸
    からっぽの答え合わせ
    冬のプールと忘れもの

    ペテン師のおまじない
    結んで開いてまた明日

    あの頃の欠片が疼く夜
    綺麗な石ころに躓いた

    わたしたちの最後の火が陰ってゆく
    初めから手遅れだったと天使が囁く

    あたらしい風を靡かせて
    懐かしい日々を移ろえば
    確かに聴こえた声ひとつ

    メイプルシロップ・マーチ
    かわいいおくち侵攻ちゅう
    あまい魔法で白く溶かすよ

    ひとりで飲んだレモンスカッシュの味も
    ぜんぶこの舌が憶えている

  3. 03.


    愛を返せない貴方を好きになりたい
    透明な今日を埋めて明日を失くした
    眩しく光るメッセージひとつ捨てた
    まちがいを探してわたしを見つけた
    ただならぬ正しさは全て呑み込んだ
    夢を見るときどうか隣に眠っていて
    呼吸はひとりで静かにするものです

    Lullaby of the escape
    真白なざわめき
    やがてひとつになる
    声にならない言葉は道連れ
    世界の真ん中まで逃げ切ってやる

    貴方の爪とわたしのはらわた
    真珠のような孤独をあげよう
    やさしくあいしてくれたのに
    花散る夜にかならず逢えるよ
    いにしえの呪いを口ずさむ人

    孤独の褒賞
    正しい夕陽が沈みゆく都市
    存在不感症
    唇を舐めてはいけない理由

    きみじゃないから素敵だ
    足りないジャムのひと匙
    四角く切り取られた感情
    伸び過ぎた髪ごと攫って
    絡めた小指の不埒な信仰

  4. 04.


    棘だらけの宝石を掴んだ
    手の届かない星に願うよ
    溢れてくるもの、それは
    透明なラベルは要らない
    そうして優しい雨が降る

    青の窓辺で朝食を
    擬えて拵えた欲望
    優しさをお大事に
    夜明けのまほろば

    パーフェクト・アンド・ブルー
    爪はいつの頃から尖らせていた
    牙がなければ噛みつけはしない
    やわらかい皮膚に一度きりの毒

    花の名前はぼくが憶えておこう
    あの日繋がなかった掌のために
    ぼくらのやさしい世界のために
    間違えた道を照らす光のために
    その声をまた思い出せるように

    未明のレモネード
    ミルク珈琲と劇薬
    ティータイム前夜
    窓越しのショコラ
    海水には還れない

    さながら聖書のような硬骨
    あるいは薔薇のひとひら、

  5. 05.


    あたためられた言葉が散らばる
    煙を吸い込んだら夜のはじまり
    巡る季節は傷ばかり舐め合った
    冷たい指先が密めく午前二時半
    シャンプーの匂いだと思った?
    不公平な神の下で息をしている
    白々と眩い光のような嘘でした

    でたらめをひとつ抱いている
    全てを飲み込むにはまだ青い
    くすんだ檻の夢を識る

    雪のまぼろし
    月にくちづけ
    花とうそぶく

    夜半の鴉
    嘘と冗談
    長い手紙

    希釈した愛のぬくもりを求めよ
    君に似合いのノンフィクション

    雨がやんだら光の国へ
    星座の眼差しが降注ぐ
    名前のない五線譜たち
    花弁を携え往くひとの
    踊れよ黄金の泡だらけ

  6. 06.


    ふたりぼっちの背中
    ぞんざいな声も唇も
    ろくに知らず愛した
    いつかの夜の置手紙
    なくしものが恋しい
    きたなくてきれいね
    ずっと迷子でいたい
    あたらしい朝を睨む
    とくべつをおしえて
    ただそこにある両手
    ちがう身体を抱いた

    あの娘が盗んだのは黄金の林檎
    きみが与えたものは花冠の束縛

    やわらかな支配がお前を生かす
    さらりと溶けたら温い水になる
    したくないことをしたくなるよ
    さりとてお前のかたちは美しい
    のこり火は静寂を揺らして沈む
    お前は星を燃やして夜空を彩る
    りりしく歪んでいつかおさらば

    遠く君の足跡

    ひとつの季節にふたりぼっち
    閉ざされた楽園はあの日の幻
    メビウスの果てで待ち合わせ
    ぼくらが重ねた嘘のはじまり
    檸檬みたいなこころに触れた
    //Romance提出

    宝石の生まれる場所